高速増殖原型炉【もんじゅ】とは?原発事故の内容をわかりやすく!

こんにちは。

2016年12月21日に高速増殖原型炉
「もんじゅ」の廃炉が決定されました。

「もんじゅ」は文殊菩薩の名前が由来の
文部化科学省管轄の原発ですが、過去に
何度か事故があったこともあり、
今回正式に廃炉が決定しました。

今回は高速増殖原型炉「もんじゅ」とは
何かということや過去の原発事故の経緯
なども含めてご紹介したいと思います。

 

 

高速増殖原型炉「もんじゅ」とは

 


高速増殖原型炉「もんじゅ」とは
福井県厚賀市にある文部化科学省が
管轄している原子力発電所です。

国立研究開発法人日本原子力研究開発
機構(JAEA)という機関が研究開発を
進めてきました。

高速増殖原型炉「もんじゅ」とは
エネルギー資源の少ない日本にとって
長期的なエネルギー安定供給のために
必要な研究開発機関です。

発電プラントとしての信頼性を実証する
ために実用の原発ではなされないような
革新的技術の開発や燃料の研究をしたり、
新たな発電プラントの設計や運転保守の
ためのデータを集めるためにも重要な
役割を担っています。

高速増殖原型炉「もんじゅ」とは
二酸化プルトニウムと二酸化ウランを
混合した燃料(MOX燃料)を用い、
冷却には純水ではなく
金属ナトリウムを利用しています。

高速増殖原型炉「もんじゅ」は
昭和55年から平成28年度までに
建設費用も含めた研究開発事業費が
1兆410億円ですが、
相次ぐトラブルや実質稼働日数250日
という現状に対して運用するための
維持費が高いなどの理由で
遂に廃炉することになりました。

廃炉に関する詳細については
別の記事にてご紹介しています。

 

 

高速増殖原型炉「もんじゅ」の過去の原発事故

 


前項で少しご紹介しましたが、
高速増殖原型炉「もんじゅ」は
福島第一原発とは異なり冷却用に
水ではなく金属ナトリウムを
利用しています。

そもそも原発(原子力発電)の
発電の仕組みは「沸騰した水から
発生する蒸気をタービン(羽根車)に
吹き付けて発電機を回すこと」です。

水を沸騰させるために
核分裂という方法を用い、
蒸気を冷却して水に戻して、
というサイクルを繰り返すことで
連続的に稼働しています。

火力発電と基本的な仕組みは同じで、
蒸気を作り出す方法が核燃料なのか
石炭・石油なのかといったことが
本質的な違いです。

高速増殖原型炉「もんじゅ」は蒸気を
冷却するために液体金属ナトリウム
(不透明色)を扱うのですが、
これは管理がとても難しく、
水や酸素に触れると高温を放ちます。

たとえば、池に固体金属ナトリウムを
投げ入れると水の中で白い煙を発し
ながら発火し数秒後に爆発を起こします。

YouTube等で検索すると爆発の程度が
分かります。

1995年、温度計の破損が理由で
液体金属ナトリウムが漏洩した火災事故
(原発事故)が起こり、
それを発端として2010年まで
運転停止しました。

なぜ蒸気冷却に水ではなく
金属ナトリウムを用いたかというと、
燃料を高速増殖する上で効率的
(高速中性子の速度を落とさない)こと、
水と密度が近いため水ポンプ技術が
そのまま使えること、配管の腐食性が
低く、除熱能力が高く大型化に
優れていたからです。

高速中性子はエネルギー値が高く、
効率的に核分裂の連鎖反応を起こす
ことが出来ます。

この原発事故後、事故当時の動画を
小出しにしてきた経緯で不信感が募り、
最終的に報道されたナトリウム漏洩の
飛散映像が衝撃的だったため、メディア
やマスコミ、反原発団体の反響が
過熱しました。

後にナトリウム漏洩の原因は
液体金属ナトリウムの温度を計測する
熱電対温度計の破損でした。

液体金属ナトリウムの断続的な流れに
よる機械的振動が温度計の破損に
繋がったとされています。

その他、性能試験中の誤警報や
故障トラブルといった原発事故が
多発したことから、実質ほとんど
稼働しないまま、現在に至っています。

 

まとめ


いかがでしょうか。

今回、約30年かけて廃炉を行うことが
決定された高速増殖原型炉「もんじゅ」
についてご紹介しました。

松野文部科学大臣いわく、高速炉自体の
研究は今後も継続的に行われる
見通しです。

SAT

おすすめの記事